blog言葉と心を育てる★難聴学園★2006

三重県立ろう学校の研修資料つづき 2006-04-30 23:51:03

先の研修資料と同じく、一部を紹介します。
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【資料2】日本語習得にむけて(三重県聾学校小学部紀要より)
                                     三重聾学校小学部
1 はじめに
 本校では10年前より幼稚部において教育活動における中心的なコミュニケーション手段として日本語対応手話(以降「手話」として省略して記述)を導入してきた。小学部においてもこうした教育を受けた子どもたちが入学するのにともない自然と手話が中心的なコミュニケーション手段となっていった。手話を導入したことにより@これまでの聴覚口話法での教育場面においては教師を仲立ちとしてしか集団討議が成立しづらかった状況から自然な子ども達どうしの討議が成立するようになった。また、A本校では保護者対象の手話研修を実施していることもあり親子間でのコミュニケーションがスムーズに行われるようになった。B重複の子ども達も含めて共通のコミュニケーション手段が確立したことにより子ども達どうしの日常的なコミュニケーションがスムーズにおこなえるようになった。などの変化が生まれてきた。こうした中で子ども達は生き生きとした学校生活が送れるようになったように思われる。しかし、手話を導入したことによりこれまでの課題がすべて解決したのかというと、決してそうではない。

 現在の本校小学部の子ども達の実態は、京都聾学校の脇中教諭が指摘するように3つのグループにわかれるように思われる。@BICSの十分な形成が難しく、小学校低学年の学習内容が課題となるグループABICSは獲得できているが、CALPに慣れておらず、小学校高学年以降の学習内容の理解が困難なグループBCALPも一定獲得できており、小学校高学年以降の学習が可能なグループである。

☆BICS(「伝達言語」と訳され「生活言語」とも言える)
 会話的能力のことであり、目や手の動きや表情など非言語的な助けを借りて働くもの。
☆CALP(「学力言語能力」と訳され「学習言語」とも言える)
 学力と結びついた言語能力のことであり。学業的な場面で働く。
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★「中心的なコミュニケーション手段として日本語対応手話」というのは、日本語の口話に手話をつけて話すもので、手話導入ろう学校の全てに採用されていると思います。手話コミュニケーションの効果は資料に報告されている通りで間違いありませんが、問題は子ども集団の手話です。先生や両親には口話に手話をつけて話していても、子ども集団のなかでは先生も親も読み取れない独特の<日本手話>で話されているはずです。

子どもの学習能力が3つのグループに分かれているのは、多分に家庭環境によって左右されており、例えば専業主婦で子どもの教育に余裕があるか、両親の共働きで子どもの教育を学校に依存する割合が高いかで、教育の結果にあらわれていると思います。私がいたときのろう学校では、学校によく顔を出している専業主婦の子どもほど成績がよく、学校にまかせきりであまり顔を出していない親の子どもほど成績が伸びない傾向が見られました。今のろう学校は、デフファミリーの子どもが増えて、良い成績をあげている報告がありますが、それについてはのちほど説明します。


三重県立ろう学校の研修資料 2006-04-29 23:11:25

同じく「ろう教育の“明日”」で、次に興味を持ったのは、三重県立ろう学校の研修資料で、その一部を紹介します。
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(2)実践事例(高学年・A児)
ア 子どもの様子
 本児は幼稚部の頃からなかなか指文字が入りにくい子どもであった。指文字で言葉を覚えても意味がつかめずにすぐに忘れてしまうことが多かった。幼稚部では簡単な手話でコミュニケーションしていた。
 小学部に入ってからは日常的な手話でのコミュニケーションには事欠かないが、指文字は苦手でなかなか単語を正確に覚える事ができずにいた。おのずと文章理解や文章表現は苦手で、日本語習得の落ち込みが目立った。しかし、算数などは得意で文章題以外では学年に対応した力を習得している。また、集団活動ではリーダー的存在であり、周りの状況を見ての判断も的確におこなう力を持っている。運動面も得意で、津市のソフトボール大会では優勝チームの4番バッターを任されていた。
 本児自身も国語の授業はなかなか気乗りはしなかったようだ。しかし、児童会の役職が当たってくる高学年になるにしたがって、集団討議を通じてグループの意見をまとめたり、文として表したりする機会が多くなってきた。こうした中、母親に「一緒に活動することの多い一学年上(デフファミリーの子どもたちも複数おり日本語も手話も堪能な学年)の子どもたちの手話が読みとれない」と泣きながら打ち明けた。また、副会長候補に立候補した際には、文をまとめる力がないと「学校に行きたくない」と言うなど深く悩んでいた。本児は学部の中での人望もあり当然の事ながら責任ある役職につくことになる。それだけに、本児としても何とか努力して日本語の力をつけたいという思いが強かった。
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手話コミュニケーションの能力が高い子どもでありながら、日本語習得で伸び悩んでいる<典型的な失敗例>です。

私がいたろう学校時代に、大人がびっくりするような<手話の天才>を何人も見てきましたが、いずれも日本語習得で失敗しています。本人に聞くと「上級生の手話がかっこよかったから」と、口話教育をまじめにやらなかったことを素直に認めています。


金沢大学・武居助教授の講演記録 2006-04-28 23:43:14

きのう、ろう教育の明日を考える連絡協議会の機関紙「ろう教育の“明日”」が届きました。いちばん興味を持ったのは、1月29日に名古屋市で開かれた第10回愛知ろう教育フォーラムで「聴覚障害教育と手話−手話と日本語の関係づけ−」と題した、金沢大学教育学部助教授の武居渡氏の講演記録でした。その一部を以下に紹介します。
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 手話によって、対話コミュニケーションを通した一次的なことばの生活言語を獲得し、その力を二次的ことばの学習言語に繋げていくことが重要となります。
 読み書きの力を高めるためには、まず一次的なことばと二次的ことばを十分に深めておく必要があることは言うまでもありません。この、ことばを深める作業を、ろう児においては、手話で行うことが適切であると思われます。手話の理解・表現力を基盤として、「共感的コミュニケーション」→「対話的コミュニケーション」→「モノローグ(一人語り)」の過程を経て、最終的に「作文」の力を高めていく方法が良いでしょう。

 手話は、日本語習得の特効薬ではありませんが、ろう児にとって、第一言語として獲得できる言語であり、ろう児の集団を形成でき、手話から得られた知識を日本語獲得に繋げることができ、アイデンティティ形成にも有効的に働きます。しかし、その一方、現在では、日本手話やその言語的知識を学べる機関は非常に限られており、ろう児に日本語の音韻意識を育てる方法がないのが課題です。
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「一次的ことば・二次的ことば」は、兵庫教育大学教授で手話通訳士でもある鳥越隆士氏も同じように使われています。一次的ことばとは1対1の対話コミュニケーションで、二次的ことばとは集団でコミュニケーションするもの、つまり不特定多数の人にわかるように話すことばです。
 実際に、ろう学校の高学年の子どもが手話で一次的ことばも二次的ことばも巧みに話せることは可能ですが、成人ろう者の例でも日本語の読み書きの力を高めることにつながるわけではありません。

手話の理解・表現力を基盤として、「共感的コミュニケーション」→「対話的コミュニケーション」→「モノローグ(一人語り)」の過程を経て、最終的に「作文」の力を高めていく方法にしても、その準備と授業のために先生は大変な労力と時間を費やされ、授業の時間がアッという間に終わってしまって、消化不良になってしまうはずです。

「手話で行うことが適切である」といいながら、あとで「手話は、日本語習得の特効薬ではありません」というのは、いかに未熟でいい加減な<机上の空論>であることをさらけ出しています。

手話で「日本語の音韻意識を育てる方法がない」のは当たり前で、口話教育で日本語の文章を声に出して読む<音読>を繰り返して育てるしかありません。

学者は気楽でいい・・・(田舎教師) 2006-04-29 09:26:00

大学の先生は、現場を、子どもをあまりにも知らなさすぎる。それが実感です。日々、教えている教師の立場から言い切ると、手話から日本語へ進むには孫悟空さんがおっしゃる通り、大変な労力がいります。別物なのです。 やはり、幼、小低の時代にしっかりと聴覚口話で進めておいた方が、音韻の感覚と、構音動作の感覚をもとに、日本語を覚えやすくなります。これは真実です。どうして学者達は真実に目をむけないのでしょうか。 幼稚部時代から指文字を入れているところをよく見ます。ですが、気をつけないと、文字感覚、音韻感覚が育たないままに小学生になるときがあります。小学校になって、ひらがなとカタカナがごちゃごちゃになったり、ひらがな五十音があ行、か行、といった行音別に意識できなかったり、日本語とかなり遠く離れたところで育っている場合が目立ちます。 行音別の感覚は、「話す」ためにはとても大事ですし、「言霊」の源でもあります。 附属聾学校では「音韻サイン」を幼小で活用されていますが、「きれいに話す」ということよりも、「話すことで音韻感覚が身に付くから」という理由なのではないでしょうか。  と、ついつい偉そうに書いてしまいました。失礼しました。

Unknown(孫悟空) 2005-07-06 22:09:26

またのコメントをありがとうございます。

いちども教育の現場に立たないで、文献を集めたり授業を視察しただけで、ろう教育がわかったような顔で意見をいう大学の先生には困ったものです。

> 「話すことで音韻感覚が身に付くから」という理由なのではないでしょうか。
その通りで、口を動かして話さないと音韻感覚が身に付きません。
音韻意識を身に付ける困難さ(松林) 2006-05/04 10:11:46

聾学校幼稚部の教師です。初めてこのブログを目にして、当たり前の事が、当たり前に書かれているのに共感を覚えました。口話教育は不可能ではないが、多くの条件をクリアできなければ実現しません。「身振りの延長としての手話」は、口話教育をすすめる上で大きな力になるということを私は最近になって率直に感じています。しかし、日本語の音韻形成という点では両刃の刃的な危険があることも確かです。しっかりした口話法の指導技術がなければ手話に流されて、かえって日本語を身につけにくくなるのではないでしょうか。

手話の役割(孫悟空) 2005-07-06 22:09:26

松林先生、初コメントをありがとうございます。

手話の役割は、口話教育で日本語の意味を視覚的に伝えるための補助であるべきであって、「しっかりした口話法の指導技術がなければ」本末転倒になってしまいます。


金沢で南村洋子先生の講演会 2006-04-27 23:00:49

 聴覚に障害のある子ども達の幸せを願っての講演会を開きます。記念講演会の講師にお願いした南村洋子先生は、難聴の娘さんを育てるかたわら「母と子の教室」「トライアングル」そして現在は「東京都立大塚ろう学校」でと、母と教師の立場から先頭に立ってろう教育を実践してこられた先生です。
 難聴児を持つ親の会ののいち20周年を記念し、講演会とパネルディスカッションでは、県内のろう教育現場や教育行政、さらに人工内耳や新生児聴覚スクリーニングなどの専門家の方々をお迎えし、幅広いお話を聞くまたとない機会です。ぜひご参加下さい。

◇と き  5月14日(日)9:30 親子教育相談会
               13:30 記念講演会
               15:00 パネルディスカッション
◇ところ  金沢市教育プラザ富樫3F
      (金沢市富樫3−10−1 TEL(076)243−1054)
◇記念講演 講師 南村洋子(みなみむら・ひろこ)先生
◇パネルディスカッション
      パネラー 伊藤真人氏(金沢大学病院耳鼻咽喉科医師)
            清水純二氏(石川県立ろう学校教諭)
            岩本弘子氏(石川県教育委員会指導課)
      助言者  南村洋子先生(東京都立大塚ろう学校講師)
      司 会  大森克成(石川県ことばを育む親の会会長)
◇参加費  1,000円(資料代)
・無料駐車場があります・講演会とパネルディスカッションに手話通訳がつきます・保育の用意があります。
■主催:難聴児を持つ親の会ののいち・石川県ことばを育む親の会
◆後援:石川県特別教育支援研究会/石川県立ろう学校/石川県言語聴覚士会/石川県医師会/石川言友会/野々市町教育委員会/金沢市教育委員会/北国新聞社
◆連絡・問い合わせ先 Email:aihuru@po4.nsk.ne.jp/TEL.FAX(076)2486303(大森克成)

金沢市教育プラザ富樫 交通案内

★私の地元・金沢で開催なので、講演会とパネルに参加します。手話通訳を見ている人がいたら、孫悟空と思って一声かけて下さい。


サイボーグで「声を使わない会話」 2006-04-26 23:53:13

4月24日(月)の午後10時より放送された「立花隆が探るサイボーグの衝撃」をビデオに録画して見ました。前回の「サイボーグ技術が人類を変える」で、人工内耳が取り上げられていましたが、今回は未来のコミュニケーション革命として「声を使わない会話」に興味を持ちました。

立花隆氏と脳科学者の川人光男氏が対談したときの字幕の一部を、以下に紹介します。
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(立花)今は現実に筋肉を動かして声を出すという操作が必要だけれど、考えてみたらそれぞれの頭の中でしゃべり合うというか、テレパシー的にこちらの考えが向こうに伝わるんですよね。そこの間を何にするかはよく分からないですけど。先程のおばあちゃんがヘルメットで脳の信号を拾うような会話だと、脳の中の言語野の情報を拾えば、しゃべろうと思っていることがそのまま音になって、そういうヘルメットをかぶった2人が声を使わず頭の中だけで会話を交わすことが可能になりますか?

(川人)原理的には可能だと思うんですよ。研究者仲間でも冗談半分……というよりは割とまじめに議論することがありまして、今までのコミュニケーションは全部自分の運動器官と感覚器官を通じてやるものだったけれど、その先に行くもの…。となると私は脳のコミュニケーションしか考えられないんですよ。概想すると言語・文字・印刷・活版印刷・電信・電話・インターネット、その次に来るものというのは全身の情報を遠いところに文化を超えて伝えようとすると、脳から直接情報を取り出すしか想像できませんので、いいか悪いかにかかわらず、必ずその方向にコミュニケーション技術を開発していくと思うんです。
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NHK プレミアム10

川人氏の話によると、脳のコミュニケーションは5年後に実現するそうです。すごい時代になってきました。


ニュース配信より:大学の要約筆記 2006-04-25 22:45:06


聴覚障害の鹿大生・東岸さん 2筆記者と受講
大学が全面支援 「毎日充実」

 重い聴覚障害の東岸(とうがん)林太郎さん(20)が4月に鹿児島大学水産学部に入学、要約筆記者の補助で講義に臨んでいる。同大によると、難聴者の受け入れは初めて。東岸さんは「しっかり学んで養殖技術を身につけたい」と夢を膨らませている。
 感音性難聴で2級の障害者手帳を持つ東岸さんは、補聴器をつけても話し声はほとんど聞き取れない。滋賀県の聾学校で小中学校を過ごし、高校は普通校に通った。琵琶湖近くで育った影響で魚に興味を持ち同学部を受験、合格した。
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以下、くわしい情報は下のリンクでご覧下さい。

南日本新聞 鹿児島県内ニュース

★滋賀県の聾学校で小中学校を過ごし、高校は普通校に通ったことは、年齢的に早期口話教育の成果であったことは間違いないでしょう。

Unknown(Unknown) 2006-06-04 01:00:38

今、頑張っています。


ニュース配信より:大沼直紀先生 2006-04-24 23:38:27


[恩師の言葉]耳の聞こえない子ども達の教育に携わる
国立大学法人筑波技術大学長・大沼直紀さん64=茨城子供と心を通わせたい

 耳の聞こえない子供たちの教育に携わって40年。目や耳に障害を持つ学生が通う国内唯一の4年制大学として、昨年10月に開学した筑波技術大の学長を務めながら、補聴器の指導や講演に奔走する。

 そうした人生を開いたのはモノクロの古い写真だ。話は1980年、何となく就職したろう学校を退職し、米国で乳幼児のろう教育を一から学び直している時へとさかのぼる。

 「補聴器さえ良ければ、ろう教育はうまくいく」。そんな考えで乳幼児から使える補聴器の研究に没頭した。教壇に立つより高性能の補聴器を作るほうが教育への貢献と信じていた。
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以下、くわしい情報は下のリンクでご覧下さい。

YOMIURI ONLINE(読売新聞)

★大沼直紀先生は偉い! ろう教育界で数少なくなった、尊敬できる先生です。


ニュース配信より:難聴治療 2006-04-23 18:43:23

ゲル使用、内耳膜に接着
京大グループ ラットで成功 成長因子で難聴治療

 薬剤を含ませた生体吸収性ゲルを、内耳の膜に置くことでラットの聴覚障害を治療することに、京都大医学研究科の中川隆之助手、伊藤壽一教授らのグループが成功、米医学誌「ラリンゴスコープ」4月号で発表した。内耳の障害による感音難聴の新しい治療法として期待できるといい、年内の臨床試験開始をめざす。

 京大再生医科学研究所の田畑泰彦教授が開発した生体吸収性ゲルを用い、大音量のために難聴になったラットで実験した。管の中に聴覚細胞が並んでいる内耳の蝸牛(かぎゅう)(うずまき管)の膜に、成長因子「IGF−1」を含ませたゲルを置き、1カ月後に聴覚機能を調べた。その結果、比較のために生理食塩水だけ与えたラットは障害が残ったのに対し、IGF−1を与えたラットはほとんど治っていた。
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以下、くわしい情報は下のリンクでご覧下さい。

京都新聞電子版


ヘレン・ケラーの名言 2006-04-21 23:48:41

盲ろうで「奇跡の人」として有名なアメリカのヘレン・ケラー女史は、こういう言葉を残しました。
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Blindness cuts you off from things; deafness cuts you off from people.
(目が見えないことは人と物を切り離す。耳が聞こえないことは人と人を切り離す。)ヘレン・ケラー
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なるほどと、心にしみる名言と思います。

視覚障害者の場合は、耳から言葉が聞こえますから、家庭で学校で職場で近所で、場所と相手を問わずにコミュニケーションできます。また電話を使って遠距離の人といつでもコミュニケーションできるので、孤独に悩む話をあまり聞かれません。

聴覚障害(ろう・難聴)者の場合は、言葉のコミュニケーションができにくいので、話し相手が限られ、孤独になりやすくなります。聴覚障害者は手話で、家族や仲間と話している間は楽しいですが、子どもがいない夫婦で高齢になると、伴侶を亡くして寂しくなり、病気で寝ていると、仲間も訪ねてこないので、いっそう孤独になってしまいます。

仲間から外れ、結婚もしないで独身で暮らす聴覚障害者は、自由で気ままな生活をしているつもりでも、長くコミュニケーションがないと、自分の殻に閉じこもって、いつのまにか情緒障害を起こして、精神病院に送られることも珍しくありません。

聴覚障害者に必要なものは、まず言葉であり、家族や仲間とコミュニケーションして、人間らしく生きることです。言葉は手話に限らず、音声語と文字が使えるようになれば、さらに話し相手の範囲が広がって、心豊かな人生を送ることができます。

お久しぶりです。(益田@聞こえないけど、それなりに・・・) 2006-04-29 22:57:50

なるほど、けだし名言ですね。
それは知りませんでした。
勉強不足で恥ずかしい限りです。
お教えいただいたことをきっかけに、私も本を読んでみたいと思います。
ご紹介を、ありがとうございました。

Unknown(孫悟空) 2006-04-30 00:34:13

久しぶりのコメントをありがとうございます。

ケラー女史は、ほかにもたくさんの名言を残していますが、のちほど紹介していきたいと思います。


ニュース配信より:聴覚障害学生高等教育支援 2006-04-20 21:21:19

【第3回日本聴覚障害学生高等教育支援アメリカ視察報告会】

 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNetJapan)では、この春、アメリカニューヨーク州にあるロチェスター工科大学(RIT)および米国立聾工科大学(NTID)と、ケンタッキー州で開催されたPEPNet全米大会2006を中心に視察を行ってきました。
 今回で3度目となる視察では、大学で提供されるきめ細かいサポートサービスの現状に加え、PEPNetのネットワークを活用した幅広い取り組みの数々に触れてきました。
 この報告会では、聴覚障害学生に携わる方々と視察の成果を共有し、我が国の今後の課題とPEPNetJapanの役割について、検討を深める機会にしたいと考えています。
 興味のある方は、ぜひお申し込みの上ご参加ください。

期日:平成18年5月14日(日)13時30分〜16時(受付開始12時30分)
内容:・学生・教職員に向けた啓発の取り組み
 ・聴覚障害学生のニーズに基づいた支援サービスの提供
 −ノートテイク・手話通訳・Cprint−
 ・一般大学における聴覚障害学生支援体制の構築
 ・今後の我が国の課題とPEPNetJapanの役割−1年間の取り組みを振り返って−
会場:海洋船舶ビル(東京都港区虎ノ門115ー16)
 http://www.sof.or.jp/profile/access.html.ja
定員:120名
参加費:無料
申込み方法:名前、所属、連絡先を記入の上、Eメールにて
 筑波技術大学 白澤shirasawa@a.tsukubatech.ac.jpまで事前にお申し込みください。
主催:日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNetJapan)
*この事業は日本財団の助成により運営されているPENInternationalの活動の一部です。


日本聾話学校の安積力也先生 2006-04-19 23:01:46

平成3年に日本聾話学校の校長に招聘された安積力也先生がNHKラジオ番組に出たときの記録を一部紹介します。
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安積先生:実際には、言うほど簡単ではないのです。個人差もありますが、難聴の子ども達がことばを獲得するためには、健常児の何倍もの時間がかかりますから、無理もありません。しかし、ケアを受ける中で、それまで「ことばを教えなければ」「この子には○○させなければ」と言う思い込みを持っていたお母さんが、どこかで変わるんですね。「この子を好きになろう」とか、「この子と一緒に楽しもう」と思えるようになる。そうすると、不思議なことが起こります。

子どもが変わってくるのです。驚くべきことに、表情が変わり、声や笑いが出てきます。そして最後に、意味のあることばが出てくるのです。それを聞いたときの、お母さんの深い深い感動は、この教育の可能性を信じさせてくれるものですし、それは本当に感動的な場面です。
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以下、くわしい情報は下のリンクでご覧下さい。

難聴児に教えられて

★さすが私立ろう学校の歴史と実績を感じさせてくれる体験記録として貴重です。口話教育はスパルタ教育であってはならず、親子が楽しく生活しながら自然に学ぶ教育でありたいものです。


障害と幸せな家庭 2006-04-18 23:55:35

「不幸」とは何か、国語辞典で調べると
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幸福でないこと。恵まれていないこと。また、そのさま。ふしあわせ。
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とあります。これではあまりに抽象的で、はっきりしません。
「不幸とは、心の苦しみが長く続く状態」としたほうが、具体的でわかりやすいのではないかと思います。

ところで、聴覚障害の子どもを持つことが、親にとって不幸なことかどうか、それは親自身の受け止めかた・考え方次第であって、他人が決めつけることではないと思います。

生まれてきた我が子に障害があることを知ったときは、聞こえる親にとって「未知の世界」で、心理的ショックを受けて泣きたくなるのは、親の感情として当たり前のことです。「障害の子どもが生まれてから、ずっと不幸だと思ったことがない」というのは、デフファミリー(ろう者家庭)でなければ真っ赤なウソです。

心理的ショックが大きくて、いつまでもメソメソと泣き止まない親は「障害は不幸」だと思っているかもしれません。心理的ショックから早く立ち直って、どうしていいのか行動を起こすことが「災い転じて福となす」につながります。

ふつうの聞こえる子どもであっても、ひきこもりや反抗・家出などで苦しんでいる家庭が増えています。障害のある子どもと仲良く楽しく暮らしている家庭であれば、近所からも「親子の仲がよくて幸せな家庭」とうらやましく思うでしょう。


オランダの眼鏡型補聴器 2006-04-17 20:14:11


オランダのVaribel社、
眼鏡型補聴器を実用化へ (2006/04/12)

 オランダのVaribel社は、眼鏡の形状を模した補聴器を開発した。商品名は、開発した企業の社名と同じ「Varibel」である。音を拾うマイクロホンと耳に伝えるスピーカを、眼鏡フレームの「つる」の部分に取り付けてある。信号処理装置もつるに内蔵してある。
 この眼鏡型補聴器の実現技術は、オランダのDelft University of Technologyが開発したものだ。Varibel社は、この技術を民生機器市場に投入するために、複数のオランダ企業の協力を得て製品としてまとめ上げた。協力を得た企業は、民生機器メーカーのRoyal Philips Electronics社と眼鏡フレーム・ベンダーのFrame Holland社、設計会社のMMID社とVerhoeven社である。同大学によれば、オーディオ・ショップである「Beter Horen」で2006年4月中旬から販売を始めるという。
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以下、くわしい情報は下のリンクでご覧下さい。

eetimes.jp

★日本にもメガネ型補聴器がありますが、レンズと補聴器を調整する必要があるためか、あまり普及していないようです。


坂本久美先生の障害受容 2006-04-16 23:25:29

先に紹介したように、NHK教育テレビの「聞こえない先生」をビデオに録画して、きょう見ました。中途失聴なので、ある程度予想した通りの内容でしたが、坂本先生の
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職員室にいて一番いやなのが朝の連絡の時に、みんなが突然「わぁ」って笑うでしょ。その時みんなすご〜く嬉しそうな顔をしてる。私だけ「どうして笑ってるの?」って、私だけうつむくのも悪いし、「どうして?」って聞けない、もう逃げたい、でも逃げられない、針のむしろに座ってるような感じで、その時はじ〜っとしてました。(字幕より)
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というコメントは、中途失聴者らしく障害受容の難しさをよく表しています。

私も、職場でこういう場面になることがよくありますが、子どもの時から「聞こえないから、わからないのは当たり前」と割り切っているので、逃げたいとか、針のむしろに座ってる感じはなく、気にしない顔でいられます。

仏教で「般若心経」の中の「色即是空」という言葉は有名ですが、簡単にいえば「あると思えばあり、ないと思えばない」という意味です。つまり、苦しいと思うことは「幻想」であって、苦しいと思わなければ、苦しみにならないということです。


花見ドライブと温泉 2006-04-15 23:43:31



こちら金沢では桜が満開で、兼六園が有名ですが、小さいときから見ているので、近年から北陸の花見名所へ夫婦でドライブしています。今年は福井県の丸岡城へ行ってみました。

天気はどんより曇っていて、ときおり小雨も降っていましたが、金沢から北陸高速道で飛ばして、丸岡インターを降りて、丸岡城公園に着きました。あまり大きくない木造の古い城でしたが、日本で最古の城らしい風格を感じました。

そのあと山中温泉に通じる深い山道にある、温泉センターで休んでから、山中経由で金沢に帰りました。


ニュース配信より:運転免許 2006-04-14 20:17:11

運転免許:聴覚障害者もOKに 08年度制限撤廃へ

 聴覚障害者の自動車運転免許に一定以上の聴力が必要とされていることについて、警察庁は13日、道路交通法を改正し、08年度をめどにこの聴力制限を撤廃する方針を固めた。安全面から「広角バックミラー」装着や聴覚障害者が運転する車両を示すステッカーの表示などを条件にする。

 現行の適性試験は、10メートルの距離で乗用車のクラクション音程度(90デシベル)が聞き取れることが合格条件(補聴器付きでも可)。緊急車両のサイレンやクラクションを聞き取れないと安全運転に支障があるという判断だった。しかし、先進国の多くではこうした制限はなく、聴覚障害者の団体から制限撤廃を求める声が上がっていた。

 警察庁は、民間研究機関「国際交通安全学会」に依頼し、クラクションやサイレンが聞こえない聴力障害者が乗用車で車線変更をしたり、前進、後退する際に安全が確保されるかなどについて障害者にも協力を求め、実地検証。試験運転を重ねた結果、運転席から隣接車線も目視できる広角バックミラーを活用し、慎重に運転を行えば、安全に運転できることを確認した。
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以下、くわしい情報は下のリンクでご覧下さい。

MSN毎日インタラクティブ

★全く聴力がない「全ろう」の聴覚障害者にも運転免許の道が開かれ、社会参加がさらに広がるわけで、障害者運動の歴史に残る快挙といえます。


中日スポーツ・石井投手 2006-04-13 18:53:43


ドラ・石井、“虎”黙らせた!
先発マサ5失点KO…若手が奮起

 逆転の流れをつくった投のヒーローは、まぎれもなく石井裕也投手(24)だった。6回から3番手で登板し、3イニングをパーフェクトリリーフ。序盤に爆発したトラ打線の火を、あっという間に消し止めた。

 「阪神戦だからすごい気合が入っていた。力が入りすぎるところもあったけど、完ぺきに抑えられたと思う」。6回表の猛攻で5点差が一気に1点差に縮まった直後の登板だった。

 逆転の流れを保つためにも、絶対に抑えなくてはいけない場面。加えて、甲子園独特の異様な雰囲気。トラ党一色のスタンドでは、無数のメガホンが揺れ動く。プレッシャーがかからないはずがない。

 しかし2年目の左腕は恐れを知らなかった。「ファンは気になったけど、とにかく目の前の打者に集中して投げた」。先頭の鳥谷を空振り三振に打ち取ると、あとはスイスイとトラ封じだ。
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以下、くわしい情報は下のリンクでご覧下さい。

中日スポーツ


石井投手が今季初勝利 2006-04-12 23:49:25

プロ野球・中日ドラゴンズの石井裕也投手が、きょうの甲子園ナイターで6回裏に登板し、8回裏までの3イニングを奪三振4個で好投して、アレックスの逆転ホームランで、今季初勝利を飾りました。

8回の先頭打者は、阪神の強打者で連続フルイニング出場で世界記録を立てた金本選手でしたが、見事に空振りの三振に仕留めたときは、すごくかっこよかったでした。

全日本ろうあ連盟は、機関紙の「日本聴力障害新聞」で、石井投手の活躍を大きく取り上げていますが、「ろう文化」イデオロギーは石井投手について何もいっておらず、人工内耳批判と合わせて、いかに了見が狭いことを示しています。


“聞こえない先生” 〜坂本久美さん〜 2006-04-11 21:48:40

NHK教育テレビ「ろうを生きる難聴を生きる」
9日(日)朝・15日(土)夜・16日(日)朝
僕の学校の人気ナンバーワンは“聞こえない先生”
〜坂本久美さん〜

 「聞こえない先生」が、聞こえる子どものクラスで、手話と声で授業を行っている。
 そこでは、子供たちが知らず知らずの内に覚えた手話も飛び交い、自分たちのメッセージを伝える姿が見られる。 坂本久美(ひさみ)さん(40歳)は、すでに教師となった24歳の時に突発性難聴にかかり、30歳で完全失聴。前任校では何度も教師を辞めようと考えるが、聞こえない子どもの立場に立った教師として再出発しようと難聴児学級のある現在の吹田市立第二小学校に異動してくる。
 「聞こえない先生」「手話で教える先生」は学校の児童全体の興味の的となり、いつしか普通クラスの教壇にも立つことになる。担任クラスはないが、現在、家庭科、習字の他、中学年の算数も担当する。授業は、黒板への筆記と手話やジェスチャーで行われる。子どもたちは坂本さんも驚くほど手話を習得していく。以前は声でとっていた出席も、今では音声なしの手話(指文字)だけで、それも「番号順ではつまらない」と、毎回順序を変えて行っている。気持を伝え合う、分かり合う喜びを子供たちに伝えたい… 坂本さんの熱い思いを伝える。
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★坂本先生は、24歳の時に突発性難聴にかかり、30歳で完全失聴した人なので、ふつうに音声語を話せます。


国際社会とろう文化 2006-04-10 23:57:56

国際社会で、日本人がもし「自分は日本人だから、日本語しか話さない」としたら、通訳がいっしょにいない限り、国際人としてのコミュニケーションが成り立ちません。どこの国も相手にされず、日本人だけが孤立してしまいます。

国際社会に出る以上は、日本人も共通のコミュニケーション言語である英語を獲得する必要があります。英語が話せる日本人は、国際社会で歓迎され、活躍する機会が与えられ、努力と成果に見合う名声と富が得られます。

アメリカのプロ野球・メジャーリーグで活躍している、イチロー選手や松井選手もできるだけの英語を話して、チームの雰囲気によく溶け込んでいます。英語が完璧にできなくても、前向きな姿勢が相手の気持ちに通じます。英語ができないからと後ろ向きになることは、かえって相手に敬遠されて、自分の居場所を見失います。

「郷に入ったら郷に従え」という言葉があるように、外国に行ったら、その国の文化(言語・習慣・生活)をよく理解して、相手に合わせて従うことが国際社会の決まり事(ルール)です。

聞こえない子どもたちも、聴者社会で生きていくために、共通のコミュニケーション言語である日本語(音声・書記)をしっかりと獲得しておく必要があります。「ろうをありのままに受け入れ、日本手話を第一言語として、ろう者らしく生きる」という、ろう文化イデオロギーは、聴者社会には通用しません。どこへ行ってもいつも手話通訳者といっしょでは、自立した社会人と認めてもらえません。

ろう文化イデオロギーを主張する、ろう者の多くは、手話講習会の講師をしたり、手話イベントを開催したり、手話関係の本を出版したりして「手話をネタに食べている」人ばかりです。

私は、ろう者社会に長く、ろうの友人・組織の情報を多くもっていますが、ろう文化について知らない人がほとんどなので、ろう文化イデオロギーに傾倒している人は、大都市圏のごく一部に限られています。しかも、入ってはやめる人も多いので、そんなに大きくなりません。


人工内耳の進歩(日経サイエンスより) 2006-04-09 18:15:22

静寂からの音、人工内耳の進歩
イントロダクション

 49歳のジョージ・ガルシア(仮名)がある朝起きると,世界は沈黙していた。一夜にして耳が聞こえなくなったのだ。ガルシアは以前に海軍で航空機発着係を務めており,ジェットエンジンのごう音を何千回も耐えてきた年月に,急性感染症が重なった結果のようだった。
 医師はガルシアに,聴覚は完全に失われており,回復の見込みはなく,補聴器も役に立たないだろうと告げた。ガルシアは重度のうつ状態となり,酒におぼれるようになった。酒を飲んでも心痛は紛れず,3回にわたって自殺を図った。
 
 牧師をしている息子の助けにより,ガルシアはようやくうつ状態から立ち直り,音のない世界で生きていくという現実を受け入れた。手話と読唇術を習い,聴覚障害者のコミュニティーで友人をつくった。酒を断ち,教会で積極的に活動するようになった。そして聴覚を失ってから6年後,ガルシアに新たな希望が生まれた。開発されたばかりの人工内耳(移植蝸牛刺激装置,蝸牛インプラント)を試す被験者にならないかと誘われたのだ。
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日経サイエンス


終わりのない戦争 2006-04-08 23:44:49

太古の昔から現在までの長い歴史で、人類は多くの争い・戦争を繰り返しています。太古の昔は、主に食料と土地をめぐる争いだったのが、時代が変わるとともに、人種・経済・政治・宗教・資源・知的財産など複雑多様な争いとなっています。

ろう教育においても、まず手話法と口話法が争い、口話法が国民・文部省の支持を得て圧倒的な勝利を収めました。その後、補聴器の高性能化・小型化で聴覚口話法が進んで、地域学校にインテグレーションする子どもが増加してきました。しかし、インテグレーションした子どもたちが成長して、メンタル面で深刻な問題が持ち上がってきました。

聴覚口話法のおかげで、かなり言葉をしゃべれるようになり、日本語の読み書きも完璧でありながら、聴者社会に溶け込めずに自分のアイデンティティを見出せないで苦しむ難聴者が多くいました。

手話との出会いと手話コミュニティへの参加で、ようやく立ち直った難聴者がいますが、今どうしているのかわからない難聴者も多くいます。そこで、聴覚口話法から再び手話法のろう学校に回帰する動きが出てきますが、それもまた問題があって、ろう教育界は混迷してしまいます。

人工内耳の登場は、ろう教育界に大きな衝撃を与えましたが、それ以上に衝撃を受けたのが、昔からの「ろう文化」を守る集団で、このままでは「ろう文化が消滅する」という危機感から、いっせいに人工内耳のアラ探しで攻撃を強めてきました。

人工内耳は、補聴器と構造的にちがうものですが、つまるところは補聴器と同じように「音声の言葉を聞き、話す」ことを目的にしています。それは「聴文化」になるわけですから、「ろう文化」と対立して、宗教戦争のように「終わりのない戦争」になります。


少数意見 2006-04-07 23:58:45

いつの時代にも、どこの組織・国家・分野において「少数意見」が存在するものですが、ほとんどは無視されてしまいます。なぜ「少数」なのか考えてみれば、それは多くの人たちに支持されていないから、無視されて当たり前のことです。

私は今、仏教の本を読んでいますが、お釈迦様が苦行の末に悟りを開いて、説法を始めたときは、わずかな人数しかいませんでした。それが、お釈迦様の忍耐強い努力によって、聞く人が増え弟子が増えて、「少数」が「多数」となって、インド・中国・朝鮮を経て、日本に仏教が伝わってきました。

のちにキリスト教が日本に伝わってきましたが、仏教のほうが日本の風土・文化によく溶け込んで「圧倒的多数」を占めています。仏教の教典は日本語で書かれているのに対して、キリスト教の聖書は外国語の翻訳で、なんとなく怪しげに書かれているので、日本人の感性になじみにくいかもしれません。

ろう教育においても、明治・大正時代の創成期には「手話教育」が主流(多数)でしたが、昭和時代の初めに「口話教育」がまたたくまに国民の支持を受けて「圧倒的多数」を占めるようになりました。手話は特定の場所(ろう社会)でしか通用しないのに対して、口話は日本語なので、親子・家族はもちろん地域社会と共有できる言葉になるからです。

「ろう文化」といって、ろうをありのままに受け入れて、手話を第一言語にすることで、ろう者の主体性とアイデンティティを確立し得ても、特定の場所(ろう社会)でしか通用しないわけですから、結局は狭い「井の中」に閉じこもって、自己満足しているだけです。地域社会に通用しなければ「社会貢献」にならないので、「ろう文化」はいつまでも少数意見になります。


教育のベテラン 2006-04-06 23:22:51

国語辞典によると、ベテランとは「ある事柄について豊富な経験をもち、優れた技術を示す人。老練者。ふるつわもの」とあります。ここでいう経験とは、成功した経験ばかりでなく、失敗した経験も含まれます。

どんな世界・分野でも、いちども失敗することなく、ベテランになることはありません。失敗を恐れずに挑戦して、失敗したら何故失敗したのか原因を考え、何度もあきらめないで、成功する法則を多く確立できた人が、ベテランといえます。

ベテランになれば、どんな困難なことにあっても冷静に状況を判断して、的確な指示が出せるようになります。若いときと比べて、うまくいくことが多くなりますから、心の悩み・苦しみがなくなり、人生が楽しいものになります。また「さすがはベテランで、判断が的確」と周囲の人たちに認められると、うれしくなります。

ろう教育に関わって5年ぐらいすると、いろいろなことがわかって、ベテランになったような錯覚をおぼえてしまいますが、3歳の子どもに言葉を教えてから、まだ8歳ですから、本当にわかったとはいえません。10年たっても、まだ13歳の中学生ですが、少しは教育の成果がわかってきます。

そして、20年たつと、子どもは23歳の成人になって、教育の成果がはっきりとわかってきます。毎年5〜10人の子どもに教育すると、20年のトータルで100〜200人分のデータが集まりますから、立派な教育のベテラン・専門家となります。ところが、最近のろう学校は10年を待たずに異動させられるところが多くなっているので、教育のベテラン先生にめぐり合うことが難しくなってきました。

ではどうするか。先生の異動が少ない、附属ろう学校と日本聾話学校に通えるところに引っ越しするか、ろう学校の教育をあてにしないで、親が努力して子どもに教育するしかありません。「教育は学校の責任」というのは、時間のムダです。


若さとは未熟なり 2006-04-05 23:58:09

テレビのニュースや新聞などでご存知の通り、民主党の前原代表以下全役員が偽メール問題の責任をとって総退陣しました。一言でいえば「若さゆえの未熟」です。メールはやっている人ならわかるように、いくらでも改ざんできるもので、信憑性が低いにもかかわらず、国会の審議で取り上げるとは、あまりにも「お粗末・こっけい」でした。

こんどの代表選挙は、2人のベテラン議員が立候補して争われるそうですが、政治の話はそのくらいにして、私が以前の印刷会社に勤めていたときに、上司が「若い人が多い」と自慢げに言いました。私が「若い人が多いということは、未熟者が多いということだ」とやり返して、上司をギャフンといわせました。

ろう教育についても「早期手話導入」とか「バイリンガル・バイカルチャ教育」「ろう文化」などと主張している人たちがいますが、それらはいずれも30〜40歳代の若い人ばかりで、何の経験も実績もあげていません。

「手話で豊かなコミュニケーションができた」と喜ぶ家庭の声が多く聞かれても、その後で「手話のおかげで日本語の習得ができた」という声はひとつも聞かれません。子供が中学生に成長しても、相変わらず日本語が満足にできないので「こんなはずではなかった」と思っているはずです。


「小児人工内耳適応基準」の見直しの概要と解説 2006-04-04 22:11:00

福祉医療・乳幼児委員会

 幼小児の聴覚障害について、早期発見と早期療育が必要と言われてきたが、それは補聴器の適合と療育を早期に行うことを意味していた。今日、乳幼児聴力検査の進展でこれらはかなり達成され、さらには補聴器による療育に限界が認められる場合には人工内耳という選択肢も開けてきた。今回の見直しでは、聴覚障害児に対する人工内耳が一定の効果を示してきていることを踏まえて、その適応年齢を1歳6カ月、聴力閾値では平均聴力レベル90dB以上と枠を広げた。また、聴力閾値だけでなく、補聴レベルについても記載した。補聴レベルが小児の生活環境において話声レベルを超えることとしたのは、そうでない場合には必然的に聴覚・音声言語によるコミュニケーションが困難となり、十分な聴覚活用が困難になる例が多いと予測されるためである。その目安は、補聴レベルで55dB程度と考えられる。
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「小児人工内耳適応基準」の見直しの概要と解説

小児人工内耳適応基準

お久しぶりです(田舎教師) 2006-04-04 23:28:10

新学期の準備にようやくめどが立ちました。ちょっと面倒なクラスを担任することになります。
聾学校の現状なのでしょうか。担任できる力量をもっている人が減ってきています。「私はできない」と平気で拒む人が増えています。
聾学校に転勤してくる教師は、50代の人、病気持ちの人が意外に多く、来た時点で「戦力外」という状況です。養護学校だときついので無理。でも、聾学校なら楽!ということだそうです。高校から、問題教師が回されてくる場合も目立ってきました。普通の学校に置いておけない教師達が回されてくるわけです・・・。あきれてしまいます。

と、まあグチはこれくらいにして、自分のなすべき仕事にまい進したいと思っています。
人工内耳の子、両親聾の子、軽度の知的な遅れのある子・・・・まさに、てんやわんやのクラスです。
やるしかないですね!!

ろう学校の現状(孫悟空) 2006-04-05 20:50:57

田舎教師さん、お久しぶりのコメントをありがとうございます。

ろう学校の現状がここまでになると、全盛時代の昔がウソみたいで、あきれるというより、泣きたくなります。

てんやわんやのクラスで、どう舵取りされるのか、先生の手腕に期待しております。


ニュース配信より:同志社大学の入学式 2006-04-03 21:43:51


◇入学式
◆同大、期待胸に5900人 総長祝辞、パソコン通訳

 同志社大では、京田辺キャンパス(京田辺市)のデイヴィス記念館で、9学部の入学式が3回に分けて行われ、新入生約5900人らが出席した。大谷実総長は「至るところで倫理問題が起きるなど、日本人は生き方を見失っている。何が善で何が悪かの自覚を持って学び、良心的行動に邁(まい)進してほしい」と祝福した。

 耳の不自由な学生らのために、手話通訳に加えて、文字をパソコンでスクリーンに表示する「パソコン通訳」も初めて実施。授業で講義の要約をパソコンで入力している支援スタッフがキーボードをたたき、式典あいさつが大型スクリーンに映し出された。
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YOMIURI ONLINE 読売新聞


テレビ「指先でつむぐ愛」 2006-04-02 22:12:05

さる3月10日にフジテレビ「金曜エンタテイメント」の『指先でつむぐ愛』が放映されましたが、録画しておいたものをきょう見ました。

実話をもとに、視覚と聴覚を失った盲ろうの夫と、
その彼を「指点字」という独特の通訳法(右・左3本ずつの指を使い、
盲ろう者の手の甲にモールス信号のように文字を打って行く方法)で、
公私共に支え続ける妻の姿を通じ、
夫婦愛の大切さ、素晴らしさを訴えかける感動ドラマ!!
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金曜エンタテイメント
『指先でつむぐ愛』
<2006年3月10日(金)21:00〜22:52放送>

 3月10日放送の「金曜エンタテイメント」は、田中美佐子主演の『指先でつむぐ愛』をお届けする。これは実話をもとに光成沢美さんが著した「指先で紡ぐ愛」のドラマ化で、視覚と聴覚を失った盲ろうの夫、福島智さんと、その彼を「指点字」という独特の通訳法でもって公私共に支え続ける妻の沢美さんの姿を通じ、夫婦愛の大切さ、そして、言葉はつむげなくても手を触れ合うことによって、言葉以上にお互いの気持ちを伝え合える素晴らしさを訴えかけていく感動ドラマである。
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こちらフジテレビ

★このドラマの途中で、私の地元「金沢」が出てくるので、身近な気持ちで見ました。田中美佐子さんは、さすがにキャリアを感じさせる安定した演技でしたが、いちばん難しい役と思われる中村梅雀さんの本物そっくりの迫真ある演技に笑えました。障害者ドラマとしては、内容が濃くて見応えのある作品に出来上がっていると思います。

私が金沢で実際に福島先生夫婦に会ったのは一度だけで、ろう協会の会議で福島先生が手話で上手に自己紹介してくれたことが印象に残っています。福島先生のユーモアセンスと前向きで明るい個性が、国立大学の教官という幸運を呼び込んだと思います。


補聴器とフィードバック 2006-04-01 23:55:07

私は、職場のコミュニケーションに補聴器を活用していますが、これは相手の話し声を聞くだけでなく、自分の声を聞きながら話すためにもあります。補聴器は胸ポケットに入れているので、自分の声が聞こえやすい位置になっています。

自分がちゃんと話しているつもりでも、それは内側から聞こえたものであって、録音テープにとって外側から聞いてみると「おや、思っていたより違う声だな」とびっくりすることがあります。聴覚障害が重い人ほど、声の違い・ギャップが大きくなる傾向があるようです。成人して聞こえなくなった人でも、長く自分の声を聞いていなければ、いつのまにか発音がおかしくなることもあります。

言葉が聞こえれば、発音も自然にきれいにできるわけでなく、いつも自分の声を聞きながら話す「フィードバック」ができていないと、発音がきれいに出ません。相手の聞き返しや意味のすれ違いが目立ってきたら、発音に注意して矯正する必要があります。

聞こえる人が、カラオケの歌唱や英会話が上達するためには、この「フィードバック」が効果的といわれています。商品を宣伝するわけではありませんが「キオークマン」の説明をみると、聴覚障害の子供が言葉をおぼえるためのヒントになります。
フィードバック記憶術

口話教育で、スパルタ式の発音訓練をさせるよりも、子供の生活と興味に合わせて楽しみながらコミュニケーションすることが、最も効率的に言葉をおぼえられるようになります。


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